例外(エラー)処理

2003年3月　堀之内武
2004年3月　西澤誠也

例外

期待しない状況がが生じると例外が上がるります。例外が発生すると通常はプログラムは終了し、メッセージが出力されます。
exception1.rb
require "narray" def p_4(x) p x[4] end x = NArray[0,1,2,3] p_4(x)

%ruby exception1.rb exception1.rb:3:in `[]': index out of range (IndexError) from exception1.rb:3:in `p_4' from exception1.rb:6
上のように、デフォルトでは実行が中断され、トレースバックが表示されます。呼出しをさかのぼってファイル名と行番号が表示されます。

自分で例外が上がるようにもできます。
exception2.rb
def power(x,y) if Numeric===x return x**y else raise "x must be a kind of Numeric" end end p power(4,2) p power("A",2)

%ruby exception2.rb 16 exception2.rb:5:in `power': x must be a kind of Numeric (RuntimeError) from exception2.rb:9
Numeric===xは xが数値オブジェクトであるかどうかを調べます。
raise は例外を発生するグローバルメソッドです。数値以外の場合は例外が上がるようになっています。

ある程度エラーが予測されている場合は、エラー時終了せず、適切な対処したいということがあるでしょう。以下のように、 begin .. rescue .. [else] .. end、を使うと例外を捕捉し、rescue以下の部分を実行します。
exception3.rb
def plus10(num) raise "Not a Numeric" if ! num.is_a?(Numeric) num + 10 end def plus_str10(num) num + "10" end s = "20" begin p plus10(s) rescue p plus_str10(s) end

%ruby exception3.rb "2010"

例外を捕捉したときだけその下を実行する rescue に加えて、例外が発生しようがしまいが必ず実行する ensure というのもあります。これも begin .. ensure .. end の形で使います。
exception4.rb
a = Array.new(2) begin file = File.open("hello.txt") a[0] = file.readline a[1] = file.readline rescue a[1] = "file is end" ensure file.close if file end p a

%cat hello.txt Hello World! %ruby exception4.rb ["Hello World!\n", "file is end"]

例外処理をうまく使うことで、まさに「例外的な状況」に強いプログラムを作ることが出来ます。汎用なプログラムをつくるためには、必須の機能です。なお、軽微な例外的状況への対応のしかたとしては、メソッドの戻り値を本来戻すべきクラスのオブジェクトでなく nil を返すという方法も良く使われます。例えば
irb(main):001:0> a = [10,20] => [10, 20] irb(main):002:0> a[1] => 20 irb(main):003:0> a[2] => nil

return